2011/08/02

【入門編5】反射マテリアル(VRayMtl)

引き続きオークのチュートリアルを。

●床にVRayPlane、球体1つ、ティーポット1つ、指向性ライト1つのシンプルなシーンを作成。

球体のマテリアルをVRayMtlにし、Reflect をグレー:RGB(150,150,150)にセットしてレンダリング。

ティーポットが移りこみます。

さらにReflect を真っ白:RGB(255,255,255)にセットし、背景に空っぽいグラデーションを追加してみます。
 
全反射状態となりましたが、映り込みが均一すぎてリアルではありませんね?

●現実世界では「フレネル効果」というものがあり、反射率は光源と面の角度で異なるように見えます。
これを再現するために、VRayMtl 『Reflection』の[Fresnel Reflections]にチェックマークを付けます。
リアルにはなった気がしますが、球が黒っぽくなりわかりにくくなりました。

●VRayでは標準状態ではフレネルの強さをRefraction IOR(屈折率)でコントロールします。
またここで判りやすいように Diffuseを明るいピンクにセットします。
RefractionのIORを1.0に変更します。
フレネルによる屈折が無くなり、反射像がまったくなくなります。

RefractionのIORを2.0に変更するとこんな感じに。
地の色(ピンク)が見える鏡のような感じに。

RefractionのIORを極端に大きく20に変更するとどうなるでしょうか。
地のピンク色がほとんど見えなくなります。

ここでは一旦IORを1.7にセットしておきます。

●なにか物足りないのはハイライト(スペキュラー)がないためです。VrayMtlにはスペキュラーという概念がありません。現実世界ではスペキュラーは「光源」が移りこんで発生する為です。

VRayでスペキュラーを作るには目に見える光源(VRayLight)を作成して写り込ませる必要がありますが、今回は3ds max標準ライトを映りこませる方法でやってみます。

目に見えない3ds max標準ライトを映りこませるには『Reflection』のglossiness(反射のぼかし)パラメーターを 1.0 以下にします。一旦0.8にしてみましょう。
先ほどまで見えなかった3dsmax標準ライトが映り込み、スペキュラーが発生しました。
それと同時に反射がぼけるようになりました。

さらにglossiness(反射のぼかし)を0.6まで下げてみます。
スペキュラーとディフュースの境界がほとんどわからなくなり、非常にマットな感じのサーフェスになります。
ここではglossinessを0.8にセットしておきます。

●GIを有効にして最終的なシーンをレンダリングしてみます。
Prymary bounce に Irradiance map、Secondary bounce に Light Cacheをセット。Irradiance mapはプリセットからLowを選択します。

Light Cacheは Suvdivs を 300程度に下げます。重いから。

 指向性ライトが強すぎるので強度を 0.3 にします。

 背景の空が暗すぎるので、グラデーションのRGBレベルを1.5 にし、そのままではカラーブリードが強すぎるので、GIパネルの Post-processingで Saturation(彩度)を0.4にセットします。
いい感じになりましたが、反射はぼかさずハイライト(スペキュラー)だけぼかしたい場合、Hilight glossiness パラメーターの右にある [L](Lockボタン)ボタンを押してロックを解除することで、それぞれのぼかし具合を制御できます。
ハイライト(スペキュラー)はぼけたままで、反射はパッキリになりました。写実性には欠けますが、細かく制御したい場合には役に立ちそうです。


2011/08/01

【入門編4】ガラスを作る(VRayMtl)

引き続きオークのチュートリアル。
今回はVRayマテリアル(VRayMtl)を使って透明なオブジェクト(ガラス)を作る練習です。

●以下のようなシーンを作り、くにゃくにゃした変なリングと奥の板をガラスにしていきます。

●マテリアルエディタを開き、標準マテリアル(Standard)を VRayMtl へ変換。
『Refraction』領域の Refract のカラーを黒(不透明)からグレー(半透明)にしてみます。

レンダリングしてみると確かに半透明になっており、なおかつ実際のガラスのように向こう側が屈折していることがわかります。

●さらにRefract のカラーを真っ白に変更してみます。
レンダリングすると、完全に透明なガラスが表現されます。

●ガラスに色をつける場合は、『Refract』ではなく『Fog color』の色を変更します。
『Fog color』は非常に強く色がつきますので、とても薄くセットします。


まだ濃すぎると感じる場合は、Fog multiplier (フォグの強度)の数値を低くすることで、ガラスの色を薄くすることもできます。
 

●ガラスは透明なのに影が真っ黒なので不自然です。影にも透明度を反映させるには、光源のシャドウタイプを VRayShadows に変更した上で、Affect shadows(影に影響) を有効にします。
 
影に透明度が反映され、色の影響も受けるようになりました。

●今度はぼかし入りのガラス(すりガラス)を作成してみます。
先ほどの変なリングを削除し、ガラスに棒を突っ込んだシーンを作成します。

すりガラスにするために、『Refraction』領域にある Glossiness (ぼかしの強度)の値を 1.0 から 0.8 に変更します。


●確かにぼけましたが少しノイジーです。これはレイトレーシングサンプル(Subdivs)が少ない為です。Subdivs を 8 → 32 くらいに変更するとぼかしは美しくなりますが、レンダリングに時間がかかってしまいます。
そこで、Refraction領域の Use interpolatior のチェックマークを有効にすることで、ぼかし効果を高速化する機能を使用します。

ディテールは多少甘くなりますが、高速にぼかしの効果を得る事ができるようになります。

ちなみにinterpolatior(補間サンプル)とは、周りのピクセルとコントラストが強く変化する部分のみ集中的にサンプリングし、コントラストがあまり変化しない部分は計算を省く事で計算を高速化するテクニックです。(イラディアンスマップと同じ仕組み)

2011/07/27

【入門編3】VRayShadow

引き続き、オークのV-Rayユーザーサイトのチュートリアルです。
3ds max の標準ライトにVRayのシャドウ機能を追加する「VRayShadow」について学習します。

●標準スポットライトのシャドウタイプを『VRayShadow』に変更します。
そのままレンダリングすると、以下のように非常に硬い影になってしまいます。

●そこで『VRayShadows params』ロールアウトの『Area shadow』のチェックボックスをonにし、影をぼかします。

●さらにぼかしたい場合には、今回は仮想光源の形にSphere(球体)を選択しているので『VRayShadows params』の『U size』のみ、より大きな値にします。
ちなみに、影がノイジーな場合はレイトレーシングのサンプル量を増やします。
VRayShadows params』の『Subdivs』をより大きな値にします。

●影を薄くしたい場合はGIをonにして照り返しを計算することで薄くするのが良いですが、手っ取り早く3ds max標準のシャドウパラメーターを使用しても良いです。

その場合は『VRayShadows params』の『Transparent shadows』のチェックを外す必要があります。

3ds max標準のシャドウパラメーターを使う場合は写実性に欠ける画になるかもしれませんよ?

【入門編2】スカイライトGIシャドウの補足

再びオークのV-Rayユーザーサイトのチュートリアルを。
ちなみに入門編は10まであります。

今回は『スカイライトGI』について。
要は環境光(スカイライト/IBL)によって影の濃さが変わるという当たり前の話。

●標準のオムニライト(マルチプライヤ1.0、V-Ray Shadow)でライティングし、GIをoffってレンダリングするとこのようになる。

●ライティング等そのままでGIをonにすると、床からの照り返しが表現される。

このとき、環境光の設定は≪RGB 0,0,0≫の真っ黒。

●これを≪RGB 255,255,255≫の真っ白に変更すると、影も明るくなります。

●さらに環境光に『環境マップ:出力』を使用し、≪RGBレベル 1.0→3.0≫にすると、真っ白以上の白(HDR)の環境光となり、より明るくなります。

●その他、物理的に正しいライティングではないが、『VRayMtlWrapper』で『Receive GI』の数値を高くすると暗めの環境光の中でも、特定マテリアルだけのGIイルミネーションを強調できます。
環境光を真っ黒にし、ティーポットのマテリアルに『VRayMtlWrapper』を割り当て、『Receive GI』を1.0→5.0にしてみます。

このようにティーポットは明るくなりますが、影は暗いままです!

ちなみにマテリアルごとではなく、オブジェクトごとに『Receive GI』を調整したい場合は『V-Ray オブジェクトプロパティ』を使うこと!